おばあちゃんのnintendogs日記

ヤフーブログから引っ越してきました。

nintendogs日記

大戦の記憶 その4

戦争体験を語らなくなった母に代わって覚書として記す。 戦後の食糧難では、祖父が作った畑が一層役だった。 カボチャをたくさん作って近所にもおすそ分けした。 ヤギの乳もあげると喜ばれた。 それでも、カボチャばかりではと、 母は、母の姉と二人で汽車に…

大戦の記憶 その3

戦争体験を語らなくなった母に代わって覚書として記す。 東京大空襲の夜の記憶は、赤く染まった夜空を見上げていたことである。 住んでいた所は所謂山の手と呼ばれる地区だったので、 その夜の被害はなかった。 翌日から、祖父は、動員されて、 焼け跡に放置…

大戦の記憶 その2

戦争体験を語らなくなった母の代わりに覚書として記す。 母の兄弟は、兄が二人と姉が一人、 その他にも生まれてすぐに亡くなった何人かがいたと聞いている。 一番大きい兄は、戦争がはじまると間もなく、徴兵されて大陸に渡った。 戦後は、シベリアの捕虜収…

大戦の記憶

最近、母が戦争の話をしなくなった。 少し前までは、事あるごとに、 戦時中、食糧で苦労した話や 米軍艦載機の機銃掃射を受けた話や 東京大空襲の夜のことなどを繰り返し話していたのに、 ぱったりと話さなくなってしまった。 母の戦争体験談は、これまでも…

せっかち

母は、元々は、せっかちな性格ではなかった。 しかし、近頃の母は、すごくせっかちである。 散歩に出ようとして、薄着なのに気が付いて、 もう1枚何か羽織った方がいいと薦めたら、 :もういい。 と、出かけるのをやめてしまった。 羽織るものを取りに戻る…

謎の財布

母が、また財布を無くしたというので、一緒に探していたら、 探していたのとは違う財布が出てきた。 結構使い込んである財布で、中には2万円ほど入っている。 お正月に集まった時に誰かが忘れていったのかもと考えて、 姉たちに電話で連絡した。 電話に出た…

姉の研究テーマ

長らく姉がしているのは、 支配階級の家系図を女系で辿るという作業である。 もちろん、趣味でやっているのだが、 女系で辿ると、歴史の教科書では滅亡したとされている一族も、 連綿と生き残っており、今でも国の中枢にいるということがわかって、 大変興味…

洋梨

年末、母の家に遊びに行ったら、 大きな洋梨の箱詰めがあった。 訪問販売の八百屋から買ったらしいが、 母は、洋梨は食べない。 お財布を見たら、2万円近くが消えていた。 1人暮らしの年寄りの所に、 色々なものを売りつけに来る輩がいるらしい。 以前、偶…

電源コードと包丁

週2回、母の家に行って、ごはんを炊いているのだが、 困った事に、炊飯器の電源コードが数日前から行方不明になって、 ごはんを炊くことが出来なくなっている。 最近の炊飯器は、安全に配慮してあって、 コードが何かに引っかかってしまった時に、 ひっくり…

クリスマスプレゼント

子供のころは、毎年、家でクリスマスパーティーをしていた。 姉妹3人で人形劇をして両親に見せたり、 プレゼント交換をしたり、ケーキを食べたりした。 私が小さいころは、姉二人が、 主に私に見せるために影絵や人形劇を見せてくれていたのだが、 私が小学…

もみじ

姉が母の所に、綺麗に紅葉したモミジの鉢植えを持ってきた。 姉が自宅の屋上で育てているものだが、 母が紅葉が好きなので、散るまでの間楽しむようにと持ってきたのだ。 母は、喜んでいたが、 少しすると、それを持ってきたのが姉だということをすっかり忘…

久しぶりの散歩

暑いとか、寒いとか、天気が悪いとか、 様々な理由をつけて散歩を渋っていた母が、 珍しく自分から散歩に行きたいと言い出した。 以前と同じコースを歩いたが、 数メートルごとに立ち止まって休まねばならなかった。 「体力が落ちたわねぇ」 と、母が言った…

かやくごはん

いつも、母の家に行くときには、昼ご飯を買って行く。 一緒に昼を食べた後、 冷蔵庫の食材を使って晩御飯を作る。 近頃は、かやくごはんを炊くことが多い。 かやくごはんは、父の好物だった。 父が亡くなってからは、作る機会が減っていたが、 手軽においし…

鍵開け

母の家の郵便受けの扉が壊れたので、 姉が新しいポストを注文して付け替えた。 3桁の数字を合わせて開けるタイプの郵便受けだ。 取り付けた当初は、開け方がわからない母のために、 カギをかけないようにしていたが、 母は、すぐにダイヤルを回してカギをか…

探し物センサー

母が、相変わらずカバンを隠すので、 姉が母のカバンにセンサーを付けた。 姉が持っているキーホルダーのボタンを押すと、 母のカバンに付けたセンサーが反応してピピピ…と音が鳴る。 これで楽に探せるようになると安心した。 数日後、また、母がカバンを隠…

父の記憶

ある時、母に、 :あなたは、○○さんのこと、ご存じ? と聞かれた。 「○○さん」というのは、亡くなった父の名前だった。 よく知っている、と答えたら、 :何で知っているの? と、不思議そうに聞いたので、 病院で亡くなる時に、ずっと手を握っていたのは私だ…

秋の七草

子供のころ、秋の七草の覚え方は、母に習った。 ハギ、キキョウ、 オバナ、ナデシコ、オミナエシ クズ、フジバカマ これぞ七草 と、歌うように繰り返して聞かせてくれた。 母の家に遊びに行った時、 そのことを母に話したら、 :もう、頭が馬鹿になってるか…

宝さがし

近頃、母は財布を隠すようになった。 失くさないようにとカバンに紐でつないだら、 カバンごと隠すようになった。 同じように、失くさないようにと、 家のカギも同じカバンにくっつけておいたので、 隠したことを忘れた母が、 :財布が無い!カギも! と、そ…

鯖を読む

先週は、母の87歳の誕生日だった。 姉は洒落たチュニックを贈り、 私は振りかけると涼しくなるというスプレーを贈った。 私が学生だった頃の母は、 既に40代だったが、 自分は35から年を取らないと言って、 アンケートにも常にそう答えていた。 最近の…

固定電話

母の家の固定電話は、だいぶ前に取り外した。 俺俺詐欺の電話がかかってきたのがきっかけだった。 姉たちの家や私の家では、まだ固定電話を引いているが、 甥や姪の家では、もう固定電話を持たずに、携帯だけで済ませているという。 そういう家庭が増えてい…

続・お絵かき先生

姉が、母に「お絵かき先生」を買ってきた。 耳が遠くなった母と筆談するのに便利そうだと買うことにしたのだ。 店には、ハイテクな最新型もあったらしいが、 昔風のシンプルなものにしたそうだ。 画面だけは大きい方が見やすいので、A4サイズになった。 母…

お絵かき先生

母の耳がますます遠くなって、会話がおぼつかないのに、 相変わらず補聴器を拒否しているので、 筆談をしようと言うことになって、姉が思いついたのが、 子供たちが小さいころに遊んでいた「お絵かき先生」というおもちゃだった。 ホワイトボードの内側に黒…

回し読み

姉に、また本を借りた。 直木賞と本屋大賞をW受賞した「蜜蜂と遠雷」である。 姉は、普段は小説は読まない。 最近読んだのは、私がプレゼントした「火花」と、 やはり私が購入した「コンビニ人間」くらいであった。 姉は、元々クラシック鑑賞が好きだったの…

生麩

母の所に弁当を買って行った時のことだ。 変わったおかずが入っていたらしく、母が聞いたので、 それは、生麩だと教えると、 :なあに?ナマズ? と、訊き返してきた。 何度も言い直して、やっと「生麩」だと理解した母。 だが、しばらくしてまた、 これは何…

耐用年数

母も私も、物持ちは良い方である。 電化製品は、買い替えまで5年と言われれば10年は使う。 子供のころ、母が手作りしてくれた服は、 サイズ直しが出来るようにと、 縫い代がたっぷりと残してあったし、 靴下も、破れても繕って履くのが常であった。 どん…

待ち遠しい

毎週2回、母の所に遊びに行っているが、 二日も間が空くと、母から決まって電話がある。 :今日は来れないの? 次に行くのは明後日だと言うと、 :待ち遠しいねえ と、言う母。 :じゃあ美味しいもの買ってきてね。 と言って電話は切れる。 私が行かない日…

つまみ食い

母の家に行くときには、 :美味しいものを買ってきてね。 という母の言葉に従って、 いつもおやつを買って行く。 常温保存の和菓子などは、仏壇に供え、 3時になったら姉も呼んで、みんなで食べることにしている。 しかし、このところ、 仏壇に供えておくと…

門松

年が明けた。 今年も、母の家に集まって新年を祝った。 皆で持ち寄ったおせちが並ぶ中、 母が何も作らなかった初めての正月だった。 母の所に届いた年賀状には、私が返事を書いた。 女学校時代からの友人にだけは、母が一筆添えた。 帰り道、息子と二人で歩…

寝床

最近、母にメールを送っても、返信が来ないことが増えた。 先日も、訪ねる前にメールをしたが、返事がなかった。 母の家に到着して、母の携帯を確認したら、 バッテリーの残量がほとんどなかった。 充電器を探したが、いつもの場所に置いてない。 失くさない…

老後の楽しみ

最近の母は、退屈している。 数年前までなら、ゲームで潰していた時間を 今は、すっかり持て余している。 ゲーム機は、まだ、母のところにあるが、 電源が入れられた様子はない。 電源ボタンの位置も、今の母は覚えられない。 退屈は、伯母の専売特許であっ…