かやくごはん

いつも、母の家に行くときには、昼ご飯を買って行く。
一緒に昼を食べた後、
冷蔵庫の食材を使って晩御飯を作る。

近頃は、かやくごはんを炊くことが多い。
かやくごはんは、父の好物だった。
父が亡くなってからは、作る機会が減っていたが、
手軽においしくできるご飯の素を母が買いこんでいたので、
作ってみたら、意外においしかったので、
良く作るようになった。

多めに作って残ったのをもらって帰る。

　：ちゃんと忘れずに持った？

と、母は何度も確認する。
そして、寒いからいいといっても、
必ず玄関の外まで見送りに出てきて、
見えなくなるまで手を振っている。
母が冷えないように、速足で角を曲がる。

曲がり角の手前で、振り返ると、
やはり手を振っている母が見えた。