謎の財布

母が、また財布を無くしたというので、一緒に探していたら、
探していたのとは違う財布が出てきた。

結構使い込んである財布で、中には２万円ほど入っている。
お正月に集まった時に誰かが忘れていったのかもと考えて、
姉たちに電話で連絡した。

電話に出た姉は、
身内で財布を無くした人はいないと言い、

　：持ち主が見つからなかったら、私のということにしていいよ。

と、冗談を言った。

もう一人の姉が、財布を見に来て、

　：昔、私が、お母さんにプレゼントした財布かもしれない。

と、言い出し、
結局、昔母が使っていた財布らしいというところに落ち着いた。

探していた方の財布は、
母が、台所の引き出しから発見した。
どうしてそこに入れたのかは、わからなかったが、
もう一度、財布をカバンに紐でつないだ。

古い財布の中身は、
母のお小遣いになった。
ひょっとすると、母のへそくりだったのかもしれない。