風呂釜

母の家の風呂釜が壊れた。

家を建てた当時からの風呂釜で、
故障した時も同じものを取り寄せて交換して、
使い続けてきたものだ。

今回も、母はそのつもりで、
特別に取り寄せないと在庫が無いという、
その旧式な風呂釜を十数万かけて修理した。

工事が始まってから気が付いた姉が、

：壊れたのなら、最新式のに取り替えたのに。

と、残念がったが、
すでに、母が旧知の業者に注文して、
さっさと工事をしてしまっていた。

姉は、古いお風呂は、入りにくそうだから、
老人でも楽に入れる風呂に替えてあげたかったのだそうだ。

相談もせずに、何でもてきぱきと決めてしまう母である。
いいお風呂に替えてもらえばよかったのにと言うと、

：今のままで大丈夫。

と言う母。
しかし、もっと楽に入れる風呂の工事が、
今回の工事とあまり変わらない値段でできると知った時は、
さすがに、ちょっと損をしたという面持ちであった。