ナンテン
母の家の庭の隅に、ナンテンの木があった。
私が子供の頃からずっとあったので、
もう何十年もそこに生えていた。
勝手に生えてきたらしいが、
母は、
：ナンテンの木は、難を転じるといわれていて、縁起がいいんだよ。
と言ってずっとそのままにしていた。
そのナンテンの木を先日工事に来ていた人が、
間違って切ってしまった。
作業の邪魔になる木を切るという話だったので、
姉は、ナンテンだけは残してと、頼んであったそうなのだが、
担当の人に伝わっていなかったらしい。
その時は、そんなに重要に思わなかったので、
切ってしまったものは仕方ないと、諦めたそうなのだが。
その日の夜、居間の電灯の笠が、
姉の頭の上に落ちてきたのを皮切りに、
姉の腕時計の鎖が突然切れたり、
家の工事が終わったばかりなのに、別の箇所の工事が必要になったり、
不運なことが、立て続けに起きている。
腕時計は、姉には珍しく高価なものだったので、
わざわざ新宿まで修理に持っていったら、
東京駅近くの本店に持参しないと修理できないと言われたそうで、
姉も、急にこんなに厄介ごとが増えたのは、
あのナンテンを切ってしまったからかもしれないと考えるに至ったようだ。
姉に、また買ってきて植えたらどうかと提案したら、
：あのナンテンの根が残っていれば、また生えてくるかもしれない。
と、言っていた。
私が子供の頃からずっとあったので、
もう何十年もそこに生えていた。
勝手に生えてきたらしいが、
母は、
：ナンテンの木は、難を転じるといわれていて、縁起がいいんだよ。
と言ってずっとそのままにしていた。
そのナンテンの木を先日工事に来ていた人が、
間違って切ってしまった。
作業の邪魔になる木を切るという話だったので、
姉は、ナンテンだけは残してと、頼んであったそうなのだが、
担当の人に伝わっていなかったらしい。
その時は、そんなに重要に思わなかったので、
切ってしまったものは仕方ないと、諦めたそうなのだが。
その日の夜、居間の電灯の笠が、
姉の頭の上に落ちてきたのを皮切りに、
姉の腕時計の鎖が突然切れたり、
家の工事が終わったばかりなのに、別の箇所の工事が必要になったり、
不運なことが、立て続けに起きている。
腕時計は、姉には珍しく高価なものだったので、
わざわざ新宿まで修理に持っていったら、
東京駅近くの本店に持参しないと修理できないと言われたそうで、
姉も、急にこんなに厄介ごとが増えたのは、
あのナンテンを切ってしまったからかもしれないと考えるに至ったようだ。
姉に、また買ってきて植えたらどうかと提案したら、
：あのナンテンの根が残っていれば、また生えてくるかもしれない。
と、言っていた。
