古時計、その後

一度は復帰したかに見えた母の古時計であったが、
先日、とうとう止まってしまった。

ちょうどその頃、母は、朝の散歩コースに
アンティックの時計を専門に修理する店があることを発見した。

一度は、もう直さなくても良いと考えていた母だったが、
やはり愛着がある時計だったので、
時間はかかっても構わないからと、
古時計をその店に預けた。

一ヶ月ほど経って、
母の時計は、きちんと修理されて戻ってきた。
大きな音がするからと貼られていたテープも、
綺麗に剥がされていたのに、
時を打つ鐘の音は、
以前よりずっと静かになった。

痛んだ部品を交換してもらって、
以前よりずっと正確に時を刻んでいる。

　：お店の人に、良い時計ですねと褒められたのよ。

と、嬉しそうに語る母であった。