渋皮煮

今年も母の所に親戚から立派な栗が送られて来た。
昨年同様、私が半分家に持ち帰って渋皮煮にして、
母の所に届けた。
料理は得意な母だが、
栗の皮むきだけは、面倒だと言ってやらない。
栗の鬼皮を剥こうとして
怪我をしたことがあるからかもしれない。

母の所で、出来上がった渋皮煮を小分けして、
姉や甥の所にも配った。
姉が、作り方を事細かに聞くので説明していたら、
母が、

　：来年はあなたが作るの？

と、姉に聞いた。
姉は、とんでもないと首を振って、

　：作った人の苦労を労う為に詳しく聞いているのよ。

と言った。
作るのは３日がかりだったが、
食べるのは一瞬である。
作った人の苦労を知れば有難みも増すというのが、
姉の考えであった。
確かに、単細胞な私は、
労いの言葉ひとつで、
では来年も頑張ろうかという気分になる。

手間さえ惜しまなければ、
渋皮煮を作るのは簡単な作業である。
レシピもインターネットで検索すれば、すぐに手に入る。
忙しい人にはけしてお勧めは出来ないが。