晩御飯

母の所に、姉が晩御飯を届けるようになって数ヶ月。

：若い人は変わったものを作るね。
　どれも美味しいよ。

と、私には姉の料理を褒める母だが、
姉には、

：味が濃かった。

とか、

：これは好きじゃない。

とか、文句ばかり言っているらしい。
しかも、持って行く前に、
食事を済ませてしまっている日もあるようだ。

姉に聞くと、

：ほとんどの日は、持って行くまで待っててくれるよ。

と言うので、そうなのかと思ったら、
姉が帰ったあとで母が、

：晩御飯の片づけが済んでから来る日は、
　まだ食べてないって嘘ついてる。

と、話していた。
それでも、届けてもらったものは、
翌朝、ちゃんと食べているそうだ。

：作り立てが美味しいのに。

と言う姉に、母は、笑いながら、

：届けてもらえるだけで、涙が出るほど嬉しいよ。

と、返す。

：美味しくないって、文句ばかり言ってるくせに。

そう言う姉も笑顔である。
晩御飯が早い母に合わせて、
一人分だけ早めに作っているそうだ。

週２日は、私も母の晩御飯を作るが、
いつも手抜き料理で反省している。