1人で暮らしている母だが、
いつも、旬の果物をたくさん買い込んでいる。
今の時期には、
アンデスメロンである。
八百屋で買って来ては、
父の仏壇に、
:お父さん、甘くしておいてね。
と言いながら供えている。
:仏壇においておくと何故だか、他の場所に置くより甘くなるのよ。
きっと、父が甘くしてくれるのだと、
冗談半分に言いながら、
遊びに来た子供や孫たちに、
:おみやげね。
と、その熟したメロンを持たせてくれる。
母は、
:お父さん、きっと、「ちっとも俺に寄越さないな」って言ってるね。
と話しながら笑っていた。