母の日記・浸水

台風に刺激された秋雨前線の影響か、
東京地方に大雨が降った。
母の家でも裏口から浸水し、
知り合いの大工さんが、土嚢を積んでくれたそうだ。
一夜明けたら、今度は、あちこちから
お見舞いの電話がひっきりなしにかかり、
母は、その応対に追われた。
こんな日は、新之助をかまってやる暇もない。

何十年も前、まだ下水道が整備されていなかった頃は、
母の家の辺りもたびたび浸水した。
何キロも離れた大きな公園の池から
立派な鯉が流れてきたこともあった。
しかし、大きな下水道の管が埋設されてからは、
浸水することなど、ついぞなかった。

ところが、一昨年頃から、また、
大雨で浸水するようになってしまった。
単に、家の周りの水はけが悪くなったのか、
今までにない集中豪雨に見舞われるようになったのか。

　：気候がね、おかしいのよ、きっと。

母は、そう言って溜息をついた。