母の日記・たからもの

前回拾った地球儀の話の続きを。

地球儀で、新之助と楽しく遊べる訳ではないと悟った母の決断は早かった。

　：これ、売ってお金に換えてちょうだい。

リサイクルショップへの行き方を忘れた母が、私に頼んだ。
行き方を教えながら、母のグッズリストを見てみると、
木片や壊れたカメラ以外にも、
様々な首輪やリボンなどが並んでいた。
母は、それらを全部売ってお金に換えた。
拾ったアイテムをコレクションする考えは無いようだった。
日々の生活においても、母は、物を集めることはしない。
不要な物はさっさと処分する。
母の家は、いつも綺麗に片づいている。
母のグッズリストも綺麗に何もない。
水やドライフードなどのお世話グッズと新之助のおもちゃを除いては。


ある日のお散歩での出来事。
突然道ばたに現れるプレゼントの箱を
２回続けて取り損なった母は、
例によって、新之助に説教した。

　：今度見つけたら、ちゃんと拾うのよ。

母の指示が遅いから拾えないのであって、
断じて新之助のせいではないのだが・・・。
説教の甲斐があってか、次のプレゼントの箱は首尾良く取ることが出来た。
母は、箱の中身を見て驚いた。

　：新之助がダイヤモンドを拾った！

大喜びで報告する母に、売値は５０万円だと教えると、

　：思ったより小粒なのね。

と、笑っていた。

　：これは、売らないでおくわ。

新之助が拾ってきたダイヤモンドの婚約指輪は、
母の初めてのコレクションアイテムになった。