人にあらざる者
いつものように母と晩御飯を一緒に食べて、お皿を洗っていたら、
奥の部屋に行っていた母が、不思議そうな顔をして戻ってきて言いました。
:今、晩御飯の食べ残しを窓から投げたら、人間ではない痩せこけたものが、窓の下に来てそのご飯をがつがつと食べたのよ。
母は、その晩、ご飯を残さず食べたし、奥の部屋に行くときも、何も持って行かなかったので、全ては母の妄想なのだろうと思うことにしました。
そう思わないと、私の方が怖くてどうしようもなかったので。
痩せこけた人にあらざる者の正体が、近所の野良猫なら良いのですが。
その数日後、姉が、
:また屋上にハクビシンが来た。
と、嘆いていました。
もしかしたら、正体は、こちらかもしれません。