どじ
最近は、母と過ごす時間のほとんどをトランプゲームに費やしています。
一人遊び用のカード並べを二人で一緒に遊ぶのが母の好きな遊びのようです。
カードを上手く並べると、全部のマークが数字順に並ぶので、
次に遊ぶ時は、カードをよく切らないといけなくなります。
母は、カードを切るのが苦手なので、その役目は私がするのですが、
たまに、失敗してカードをばらまいてしまう時があります。
そんな時、母は、すごくうれしそうに、
「どじね。」
と、笑います。
それが言いたいためなのか、
母は、私がカードを切る間じゅう、じっと見張るように待ち構えています。
上手いこと切り終えて、次のゲームのためにカードを並べ始めると、
今度は、少しの乱れも見逃さないように、カードの列をチェックしていきます。
ミリ単位で修正している姿を見て、
そういえば、亡くなった父が、
几帳面にノートや筆記用具をきっちりと並べていたのを思い出しました。
母に、そう話したら、
「そうだったかしら?」
と、曖昧な返事が返ってきました。