母とお化け
母は、若い頃、お化けが苦手だった。
小さい頃から怖がりだったのを
住み込みで働いていた大工さんたちが、
面白がって脅かしたので、
余計に苦手になった。
まだ小学生だった母が、
夜中にお手洗いに行こうとすると、
階段の上から、かもじを頭に乗せて、
櫛を口にくわえ、白い布を被った若い職人さんが、
いきなり飛び出してきて脅かされたことは、
一度や二度ではなかったそうだ。
「かもじ」は大工さんたちが建前などの時に使うもので、
長い髪の毛を束ねたものだ。
すっかり臆病になった母は、
二十歳を過ぎてからも、
自分の母親と同じ布団でないと眠れなかったそうだ。
父と結婚してからも母親の布団で寝るので、
母親の方がほとほと困り果てたらしい。
そんな怖がりだった母が、
今は一人暮らしをしている。
お化けに脅かされたことも、
今では、笑い話である。
でも、怖いのはやっぱり少し苦手なので、
サスペンスやホラーは、
絶対に見ない母であった。
小さい頃から怖がりだったのを
住み込みで働いていた大工さんたちが、
面白がって脅かしたので、
余計に苦手になった。
まだ小学生だった母が、
夜中にお手洗いに行こうとすると、
階段の上から、かもじを頭に乗せて、
櫛を口にくわえ、白い布を被った若い職人さんが、
いきなり飛び出してきて脅かされたことは、
一度や二度ではなかったそうだ。
「かもじ」は大工さんたちが建前などの時に使うもので、
長い髪の毛を束ねたものだ。
すっかり臆病になった母は、
二十歳を過ぎてからも、
自分の母親と同じ布団でないと眠れなかったそうだ。
父と結婚してからも母親の布団で寝るので、
母親の方がほとほと困り果てたらしい。
そんな怖がりだった母が、
今は一人暮らしをしている。
お化けに脅かされたことも、
今では、笑い話である。
でも、怖いのはやっぱり少し苦手なので、
サスペンスやホラーは、
絶対に見ない母であった。