母と携帯電話

携帯電話を使った詐欺の話などをよく耳にするが、
母に関しては、その手の被害にあう心配は無いようである。
なにしろ、携帯電話に電話がかかって来ても、
母は、絶対に出ない。
初めのころなど、
それが私の姉からで、
携帯の小窓に姉の名前がしっかりと表示されていても、
信用できないと言って、電話に出なかったくらいである。

母が、電話に出ないことを知っているので、
姉も私も、今ではメールしかしない。
母の方は、その日の気分で、
メールしたり、電話したり、
勝手気ままに使っている。
私への用件を間違って姉にメールしたり、
姉に伝えるべきところを
私にメールしてきたりといったことも、
稀にはあるが、
概ね便利に使いこなしているようだ。

先日、ちょうど母の家を訪ねた折、
携帯の番号を教えた知り合いから、
携帯に電話がかかってくることがあった。
いつものように電話には出なかった母だが、
後で、同じ人から家の固定電話に連絡があって、
先ほどの電話がその人からだとわかったので、
次からは、名前が表示されるように登録しておいてあげようとしたら、
しっかりと母の手によって履歴が消去されていた。

どうも、着信履歴というのは、
残しておいてはいけないものだと
思い込んでいたらしかった。
変な電話があっても、履歴を消せば、
もう二度とかかって来ないと思い込んでいる、母である。
自分で番号を教えておいて、
失礼にもほどがあると思うのだが。