障子

母の家は、窓にカーテンを下げる代わりに、
障子を使っている。

父が生きていた頃は、
障子紙を買ってきて、夫婦で張替えをしていたが、
父が亡くなってからは、
近所の表具屋さんに頼んでいた。

先日、洗濯物を干していて、
障子に穴を開けてしまった母は、

　：表具屋さんに行って頼まなくちゃ。

と、話していたが、
少し離れた場所にあるので、
天気が悪かったり、日差しが強すぎたり、
なかなか頼みに行かれずにいた。
姉には、１箇所破れたくらいで勿体無いから、
そのうち切り張りして直せばいいと言われ、
私も、そのままにしていたら、
数日後、母が、携帯から電話して、
その日のうちに、全部張り替えてもらっていた。

張り替えたおかげで、
部屋が明るくなったと喜んでいた母だが、
障子のことに気をとられていた間、
気にならなかった体調の悪さが、
障子がきれいになったとたん、また気になりだして、
具合が悪いとこぼす母を見ていると、
障子は、破けたままのほうが良かったかもしれないと
密かに思った。