母の習字
先日、母の家を訪れると、母の姿が無かった。
メールで行くことは伝えてあったのだが、
外出してしまったらしい。
机の上に書置きなどないかと探してみると、
書置きではないが、習字の練習をした紙が置いてあった。
その文字を見てぎくりとした。
紙には、
お兄さんは、死んでしまいました。
好きだったのに、死んでしまいました。
生きていればよかったのに、死んでしまいました。
一番好きだったのに、死んでしまいました。
と、記されていた。
お兄さんというのは、
戦死した母のすぐ上の兄のことである。
その兄の話は、幼い頃から母に聞かされていたが、
最近は、更に頻繁に話すようになった。
行き先のわからない母を待ちながら、
母の悲しみに思いをはせた。
敗戦から年月が経ち、
戦争体験を語れる人が、どんどん減っている。
戦争で身内を失った者の痛みをわかる人が周りからいなくなる。
そのことを怖いと感じるか、幸せなことだと思うかは、
人それぞれであろうが、今の私は、怖いと感じている。
しばらくして、母が帰宅した。
数日前に病院で貰った薬を失くして、また、貰いに行ったのだと言う。
母が、失くしたと思った薬は、寝室の枕元にあった。
自費扱いで8000円も取られたそうで、
:失敗した!!
と、しきりに悔しがる母であった。
メールで行くことは伝えてあったのだが、
外出してしまったらしい。
机の上に書置きなどないかと探してみると、
書置きではないが、習字の練習をした紙が置いてあった。
その文字を見てぎくりとした。
紙には、
お兄さんは、死んでしまいました。
好きだったのに、死んでしまいました。
生きていればよかったのに、死んでしまいました。
一番好きだったのに、死んでしまいました。
と、記されていた。
お兄さんというのは、
戦死した母のすぐ上の兄のことである。
その兄の話は、幼い頃から母に聞かされていたが、
最近は、更に頻繁に話すようになった。
行き先のわからない母を待ちながら、
母の悲しみに思いをはせた。
敗戦から年月が経ち、
戦争体験を語れる人が、どんどん減っている。
戦争で身内を失った者の痛みをわかる人が周りからいなくなる。
そのことを怖いと感じるか、幸せなことだと思うかは、
人それぞれであろうが、今の私は、怖いと感じている。
しばらくして、母が帰宅した。
数日前に病院で貰った薬を失くして、また、貰いに行ったのだと言う。
母が、失くしたと思った薬は、寝室の枕元にあった。
自費扱いで8000円も取られたそうで、
:失敗した!!
と、しきりに悔しがる母であった。