母のメール

連休だというのに風邪をひいてしまった。
寝込むほどの風邪ではないが、
母に感染すといけないので、
ここ１週間は、母に会いに行っていない。

母からは、１日おきくらいにメールをもらう。

　まだ治りませんか　心配しています

というような内容だ。
時には、

　焼いた肉にポン酢をかけてしょうがすりおろしをかけるのね

という、いきなりなレシピ確認のメールも来る。
母は、最近、料理に手間をかけるのが億劫になって、
私が教えた手抜き料理をよく作るらしい。

昔、姉が母に

　：どうして末の妹ばかりを可愛がるの？

と、文句を言ったことがあった。
姉たちが生まれた頃は、まだ生活が苦しく、
着ている服も、ネルの寝間着のようだったのに、
余裕が出来てから生まれた私は、
お姫様のようなひらひらした服を着ていたのが、
羨ましかったのだそうだ。
成長してからは、わけ隔てなく、
姉妹全員同じおそろいの服を着ていたが、
身体が弱かった私は、何かと贔屓されて育った。
そんな時、母は、今は亡き自らの母の言葉を引用して、
姉たちに言い聞かせた。

　：一番最後に生まれた子供は、
　　親と過ごす時間が一番短いんだから。

母の姉も、そう言われていたらしい。
姉たちが、そんなことでは納得しなかったことは想像に難くないが、
一番短い時間を無駄にしないように、
早く治して母を安心させたいと思う。