一人暮らし

都会では、一人暮らしが増えているらしい。
周りを見ても、最近、一人暮らしになった家が結構ある。
私が子供の頃、家族で暮らしていた家は、
今、母が一人で住んでいる。
近所の家も、当時は家族数人で住んでいた所が、
子供たちが就職して出て行き、
夫婦の片方が先立ち、一人暮らしになっている。
姉も、年を取ったら一人暮らしをすると、
今から宣言している。

　：朝、何時に起きても良いし、
　　何を食べても良いなんて、
　　こんなに自由で良いのかねえ。

一人暮らしを始めたばかりの母が、
仏壇に手を合わせながら、そう言っていたのを思い出す。

一人暮らしと言っても、
母の場合は、すぐ近くに子供や孫や曾孫たちがいて、
毎日、誰かが顔を出す、恵まれた環境にいる。
この春には、曾孫がもう一人増えた。
少し離れて暮らしている曾孫の写真を
メールで送ってもらって、眺めている。

それでも、最近よく聞く「孤独死」のニュースに、
母の事が心配になることもある。
父が亡くなる時は、
家族全員で代わる代わる手を握りながら、
見送ったものだが、
そういう人生の締めくくり方は、
なかなか難しくなっているのかもしれない。