老後の楽しみ

ここ１０年、風邪ひとつひかなかった息子が、
肺炎に罹って入院した。
母は、孫の容態や看病している私の体調を心配して、
毎日のように電話してくる。
感染るといけないので、
私も暫く母の所には行っていない。

夫の父親を介護していた頃は、
狭く感じた我が家も、
一人になってみると、やけに広く感じる。
やがて息子が独立すれば、
私の老後はこんな風なのかなと想像してみた。

大学に通っていた頃、
ナスカの地上絵を測量し続けているお婆さんのドキュメンタリーを見て、
自分も老後は、あんなふうに暮らしたいと憧れたものだが、
今の自分には、そのような情熱は全く無い。

老後は、遊んでいない古いゲームを遊びながら過ごそうと、
考えていた頃もあったが、
年をとっても、遊びたいのは、やっぱり新作ゲームだ。

２０代で、投稿漫画をやめた時も、
老後にまた楽しんで描けるようになれば良いと思っていたが、
近頃は、めっきり視力も落ちて、
ベタ塗りさえも億劫になってしまった。

そんな話を以前、姉としていたら、

　：本当にやりたいと思ったことは、その時にやらなきゃダメよ。

と、言われた。
姉も、若い頃、老後にと思っていた染色の勉強を
年金生活を目前にした今、全然やりたいと思わないそうだ。