回転寿司
まだ父が健在だった頃の話だから、
もう10年近く経つのだろうか。
母と姉が二人で回転寿司を食べに行った時のことだ。
二人とも、それまで一度も回転寿司の店に入ったことがなく、
一度食べてみたいと、
他の家族が、たまたま不在だった日に、
近所にできた回転寿司の店に出かけた。
二人とも初めてだったのだが、
まだ昼前で店は空いていて、
空いていたカウンターの席に座り、
くるくると流れていく寿司の皿を
二人して眺めていた。
セルフサービスであることを知らなかった二人は、
黙って座り続けていたのだが、
痺れを切らした母が、
:お茶は、いただけないのかしらねえ。
と姉に向かってつぶやくと、
ようやく、店員も気がついたようで、
お店のシステムを説明しにきてくれたそうだ。
その後、姉は、何度か回転寿司に行ったらしいが、
母は、再び行く機会もなく、今に至っている。
それでも、初めての回転寿司は面白かったらしく、
今も、度々話題にしては、笑っている。
でも、記憶がだんだん曖昧になるのか、
先日は、
:蛇口のボタンを押すと醤油が噴出すのよ。
と、話していて、
母の頭の中で、回転寿司が、
おかしな店に変わっていきそうで不安である。
もう10年近く経つのだろうか。
母と姉が二人で回転寿司を食べに行った時のことだ。
二人とも、それまで一度も回転寿司の店に入ったことがなく、
一度食べてみたいと、
他の家族が、たまたま不在だった日に、
近所にできた回転寿司の店に出かけた。
二人とも初めてだったのだが、
まだ昼前で店は空いていて、
空いていたカウンターの席に座り、
くるくると流れていく寿司の皿を
二人して眺めていた。
セルフサービスであることを知らなかった二人は、
黙って座り続けていたのだが、
痺れを切らした母が、
:お茶は、いただけないのかしらねえ。
と姉に向かってつぶやくと、
ようやく、店員も気がついたようで、
お店のシステムを説明しにきてくれたそうだ。
その後、姉は、何度か回転寿司に行ったらしいが、
母は、再び行く機会もなく、今に至っている。
それでも、初めての回転寿司は面白かったらしく、
今も、度々話題にしては、笑っている。
でも、記憶がだんだん曖昧になるのか、
先日は、
:蛇口のボタンを押すと醤油が噴出すのよ。
と、話していて、
母の頭の中で、回転寿司が、
おかしな店に変わっていきそうで不安である。