金のなる木
今は亡き父に、金のなる木をプレゼントしたのは、
何十年も前のことであった。
面倒見の良い父は、
その鉢植えを枯らさずにずっと育ててくれていたが、
父が亡くなって七回忌を迎える少し前、
母が、こう言った。
:お父さんが亡くなってから、貯金をいっぱい使ったからかしら。
金のなる木が枯れちゃったのよ。
見てみると、二鉢あった木が、
どちらも幹が空洞になって、腐っていた。
母は、
:もう先が長くないから大金は要らないけど、
小銭くらいは欲しいわね。
と言って、枯れた木にせっせと水をやっていた。
すると、枯れた木の周囲から、
新しい芽がたくさん出てきた。
母は、伸びてきた芽に添え木をしたり、
日にあてたりして、せっせと世話をしている。
:もう少し暖かくなったら植え替えするのよ。
新しい芽を「小銭のなる木」と呼んで、
愛おしそうに眺める母であった。
何十年も前のことであった。
面倒見の良い父は、
その鉢植えを枯らさずにずっと育ててくれていたが、
父が亡くなって七回忌を迎える少し前、
母が、こう言った。
:お父さんが亡くなってから、貯金をいっぱい使ったからかしら。
金のなる木が枯れちゃったのよ。
見てみると、二鉢あった木が、
どちらも幹が空洞になって、腐っていた。
母は、
:もう先が長くないから大金は要らないけど、
小銭くらいは欲しいわね。
と言って、枯れた木にせっせと水をやっていた。
すると、枯れた木の周囲から、
新しい芽がたくさん出てきた。
母は、伸びてきた芽に添え木をしたり、
日にあてたりして、せっせと世話をしている。
:もう少し暖かくなったら植え替えするのよ。
新しい芽を「小銭のなる木」と呼んで、
愛おしそうに眺める母であった。