特別室
手術は大嫌いな母だが、これまで2回だけ手術を受けた経験がある。
1回目は、まだ母が父と結婚する前、
盲腸になった時であった。
手術を怖がってなかなか入院しない母を心配した祖父は、
借金をして病院の特別室を予約した。
専用の風呂と直通電話が付いた、
当時としては豪華な病室で、
母も渋々入院を承諾した。
手術してみると、
ギリギリまで処置しなかったせいで、
腹膜炎を起こしかけていて、
1週間だったはずの入院が1ヶ月近くに及んだ。
祖父は、そんなに長くは部屋代が払えないからと、
手術後は、普通の個室に母を移してもらった。
退院後、祖父が借金していたことを知った母は、
自分の親不孝を悔いたそうだ。
2回目は、私が学生だった頃、
母の胸に良性の腫瘍ができて、
念のために摘出手術を受けた時だ。
1週間ほどの入院だったが、
父が心配して、1日も欠かさず見舞いに行っていたらしい。
私の方は、卒論の現地取材で、
その時は家にすら居なかったから、
そのことも、後になってから母に聞いて知ったのであった。
1回目は、まだ母が父と結婚する前、
盲腸になった時であった。
手術を怖がってなかなか入院しない母を心配した祖父は、
借金をして病院の特別室を予約した。
専用の風呂と直通電話が付いた、
当時としては豪華な病室で、
母も渋々入院を承諾した。
手術してみると、
ギリギリまで処置しなかったせいで、
腹膜炎を起こしかけていて、
1週間だったはずの入院が1ヶ月近くに及んだ。
祖父は、そんなに長くは部屋代が払えないからと、
手術後は、普通の個室に母を移してもらった。
退院後、祖父が借金していたことを知った母は、
自分の親不孝を悔いたそうだ。
2回目は、私が学生だった頃、
母の胸に良性の腫瘍ができて、
念のために摘出手術を受けた時だ。
1週間ほどの入院だったが、
父が心配して、1日も欠かさず見舞いに行っていたらしい。
私の方は、卒論の現地取材で、
その時は家にすら居なかったから、
そのことも、後になってから母に聞いて知ったのであった。