おばあちゃんのnintendogs日記

ヤフーブログから引っ越してきました。

忘れ物を届けに

その日、忘れ物をしたのは、私だった。

母は、私の忘れ物に気づいて、
携帯に何度もメールをくれたが、
私がそれに気づいたのは、
帰宅した後だった。

今度行く時まで預かっておいてと返事したが、
翌日、母は、散歩がてら、
私の忘れ物を届けに来てくれた。
家を出るときにメールがあったので、
私も家を出て、ちょうど中間地点で落ち合った。

母は、万歩計をチェックして、

 :まだ2000歩だから、もうちょっと歩くわ。

と言って、最寄のJRの駅まで一緒に歩いた。

母の朝の散歩に付き合うのは初めてだった。
今年80になるとは思えないしっかりとした足取りで、
背筋をピンと伸ばして歩く母は、時折、

 :かかとから、かかとから。

と、自らに言い聞かせるように歩いていた。
どうも、それが転ばずに歩く母なりのコツらしい。

母は、駅の改札まで歩いて、電車に乗って帰って行った。
私は、いつも母がしてくれるように、
背中が見えなくなるまで見送った。