年越しの準備

今年も親戚の分までおせちを作る母に頼まれて、
材料の買出しをして届けた。

　：最近、根気が無くなって、
　　料理してても途中で飽きちゃうのよね。

と話す母だが、
ふっくらとした煮豆や
つややかなきんとんは、
まだ、母の腕前には遠く及ばないので、
年越しの準備は、
未だに母頼みである。

母の煮豆の一番のファンだった私の夫が、
２月に亡くなってからは、
豆を煮る量も回数も半減してしまった。
そういえば、きんとんも、
作るのを手伝っていた父が亡くなってから、
作る量が半分になった。
手伝うといっても、
芋を裏ごしする時に鍋を押さえていることと、
照りを出す時に扇ぐ役で、
しかも、扇ぐのは疲れるからと、
途中から扇風機を回していたりしたのだが、
それでも、亡くなった今では、
母にとっては大切な思い出である。

父が亡くなった時、
七回忌までは、とても生きられないと言っていた母は、
来年に迫った父の七回忌を前に、

　：まだ当分迎えに来なくて良いからね。

と、仏壇の前で父の遺影に頼み込んでいる。