2017-03-13 父の油絵 生い立ちの記 #練習用 父は、多趣味な人であった。 油絵、ゴルフ、熱帯魚、盆栽。 子供たちが小さいころは、よく油絵を描いていた。 画板を抱えて写生に連れて行ってくれた。 絵を描くのは、父と子供たちだけで、母は、描かなかった。 絵を描くのに飽きると、父の周りで母と遊んだ。 父の絵は、風景画ばかりだった。 遊びに行った場所の風景や、 故郷の海の絵が多かった。 人にあげたりして、ほとんど残っていないが、 数枚が、今でも母の家の倉庫に眠っている。 その中に、一枚だけ人物画があった。 黒いセーターを着た母の肖像画だった。 若き日の母は、キャンバスの中で、 モナリザのように微笑んでいた。