俺俺

母の所にオレオレ詐欺の電話がかかってきた話は以前に書いた。
それ以来、母の家には黒電話が無くなった。

我が家には、まだ固定電話があるが、
たまに母からかかってくるほかは、
セールスの電話ばかりだ。

その電話に、先日、息子と名乗る人物から電話がかかってきた。
平日の昼間だったが、息子は家にいたので、
電話の主ににそう告げると、

「お母さん、そんなわけないでしょ」

と、しばらく言い募っていたが、
あきらめたのか、

「俺が本物の息子だから」

と言って電話を切った。
なんとも稚拙な捨てぜりふだった。
だいたい息子は、私のことをお母さんとは呼ばない。
以前にも、同様の電話は、かかってきたが、
息子の名前の読み方が間違っていて、
すぐに偽物だとわかった。
その時も、お母さんと親しげに呼ばれたが、
私のことをそう呼ぶのは、詐欺師ばかりである。