おばあちゃんのnintendogs日記

ヤフーブログから引っ越してきました。

母と漫画

先日、母にこんなことを言われた。

 :貴女も漫画を続けていれば良かったのにね。


私が漫画を描かなくなったのは、社会人になって3年目だった。
小学校3年から漫画を描き始めて、
高校受験の時も、大学受験の時も、
親に隠れて描き続けていた。
母は、もちろん気付いていたようだが。
大学卒業後も、病院の事務をしながら続けていたが、
最後の投稿作品が、選外佳作に終わり、
名前だけが雑誌の隅に掲載されたところで、
転職して仕事が忙しくなったことも手伝って、
ぷっつりと漫画を描かなくなった。

漫画が好きになったのは、
母が買ってくれた「鉄腕アトム」だったが、
母は、ずっとそのことを後悔していた節がある。
学生時代は、一応そこそこの成績をとっていたので、
叱られこそしなかったが、

 :また、漫画ばかり描いて!

と、よく呆れられていた。

そんな母が、何故冒頭のような発言をしたのか、尋ねてみたら、

 :だって、漫画って今は、すごい芸術なんだから。

と、言っていた。
テレビのニュースで見たのだろう、
その後も、漫画の地位について語り続ける母に相槌を打ちながら、
小学生の頃読んだ「漫画家入門」の巻末で、
「漫画は総合芸術だ」と遠慮がちに叫ばれていた著者、
石ノ森章太郎氏のことを思い出して、
私は、ひとり感慨に浸っていた。