おばあちゃんのnintendogs日記

ヤフーブログから引っ越してきました。

待つ身と待たれる身

母がまだ子供だった頃。
毎朝出会う若い奥さんがいた。
夫を見送った後、家事をしながら夫の帰りを待つ毎日だというその人が、
ある時、母にこう尋ねてきた。

 :ねえ、待つ身と待たれる身、どっちが辛いと思う?

まだ幼い母には、答えが出なかったが、
おそらくこの人は、待つのが辛いのだなと思った母は、

 :待つ身だと思います。

と、答えた。

 :そうよねえ。

その人は、寂しそうに笑いながら帰って行った。

それから数十年。
母は、この話をしながら、
今なら待つ身の辛さが良くわかると言う。
思えば、母の人生も大半が家族を待つ時間の連続だった。
今でも、子や孫たちの食事を作り、
仕事から帰ってくるのを待つ日々である。

 :でも、待つ人がいることは、幸せなことよね。

と、母は言う。

 :今なら、こんなに楽しい暇つぶしもあるし。

そう言いながら「細菌撲滅」に励む母であった。