待つ身と待たれる身
母がまだ子供だった頃。
毎朝出会う若い奥さんがいた。
夫を見送った後、家事をしながら夫の帰りを待つ毎日だというその人が、
ある時、母にこう尋ねてきた。
:ねえ、待つ身と待たれる身、どっちが辛いと思う?
まだ幼い母には、答えが出なかったが、
おそらくこの人は、待つのが辛いのだなと思った母は、
:待つ身だと思います。
と、答えた。
:そうよねえ。
その人は、寂しそうに笑いながら帰って行った。
それから数十年。
母は、この話をしながら、
今なら待つ身の辛さが良くわかると言う。
思えば、母の人生も大半が家族を待つ時間の連続だった。
今でも、子や孫たちの食事を作り、
仕事から帰ってくるのを待つ日々である。
:でも、待つ人がいることは、幸せなことよね。
と、母は言う。
:今なら、こんなに楽しい暇つぶしもあるし。
そう言いながら「細菌撲滅」に励む母であった。
毎朝出会う若い奥さんがいた。
夫を見送った後、家事をしながら夫の帰りを待つ毎日だというその人が、
ある時、母にこう尋ねてきた。
:ねえ、待つ身と待たれる身、どっちが辛いと思う?
まだ幼い母には、答えが出なかったが、
おそらくこの人は、待つのが辛いのだなと思った母は、
:待つ身だと思います。
と、答えた。
:そうよねえ。
その人は、寂しそうに笑いながら帰って行った。
それから数十年。
母は、この話をしながら、
今なら待つ身の辛さが良くわかると言う。
思えば、母の人生も大半が家族を待つ時間の連続だった。
今でも、子や孫たちの食事を作り、
仕事から帰ってくるのを待つ日々である。
:でも、待つ人がいることは、幸せなことよね。
と、母は言う。
:今なら、こんなに楽しい暇つぶしもあるし。
そう言いながら「細菌撲滅」に励む母であった。