自重

昨日は、父の日だったので、
亡父の好物だった草大福を買って、
母の家を訪ねた。
節電で薄暗くなった部屋の中で、
母は、秋川さんのＣＤを聞いていた。

　；座ってゲームばかりしていては、いけませんと、
　　何かのＴＶで言っていたから、
　　我慢しているの。

と、母が言う。
毎日何時間も遊んでいる私ならともかく、
毎日散歩で身体を動かし、
息抜き程度に触っている母には、
当てはまらないと思うのだが。
いつどこでそんな番組を見たのかは、判然としない。

　：ゲームする代わりに習字の稽古をしているのよ。

と、いたって前向きな母である。
母には、以前、「美文字トレーニング」も
プレゼントしたのだが、
手紙も巻紙に筆書きする母には、
やはり物足りなかったらしく、続かなかった。

先日、久しぶりに熨斗袋に名前を書く機会があり、
自分の筆力の衰えを感じたそうで、

　；練習しないとどんどん下手になる。

という危機感を持ったのだそうだ。

少しの練習で、すぐに勘を取り戻した母だが、
更に上手くなるには、やはりお手本が必要だと思い、
十年以上も前に受講した書道講座のテキストを
見つけ出してきて、勉強しているのだという。

ただ、最近の母は、物忘れが増えてきたので、
止めたと言いつつも、またすぐに、
「細菌撲滅」を始めるにちがいないと、確信している。