姉の労作
母の家で昼食を食べながら、
ふと姉が、
:何年か前に本で読んだ時には、
まだ北米プレートの境目は点線だったんだよね。
と話し始めた。
最近TVでたまに見かける日本周辺のプレートの配置図が、
はっきりと実線で描かれていたのを見て思い出したそうだ。
言われて思い返してみれば、
私が初めて目にした大陸移動説は、
まだ移動の理由を説明しきれていなかったし、
学生時代に読んだプレート理論も、
あくまでも仮説と前置きされていて、
プレートの数も今よりもっと少なかった。
そんな話をしていると、姉が、
:興味があるなら。
と言って、家から、
当時纏めたレポートの束を抱えて来た。
:家には、もっとあるんだけれどね。
と言いながら厚さ5センチぐらいのレポートをめくりながら、
地球の46億年前から現在に至る変遷を説明してくれた。
年表形式に纏められたレポートは、
縦軸に時間、横軸に地球上の各地域を配置し、
同じ時間軸の中で
世界中の歴史がどう関わり、
動いたのかがわかるように
縦横にテープで貼り合わせられていた。
:元々興味があった西洋美術史を理解するために、
必要な作業だったから。
と、語る姉の興味は、
すでに西洋美術史年表の制作に移っているようだ。
姉は、
:私が死んでも、棺桶にこのレポートを入れて
一緒に燃やすようなまねだけはしないで。
と、家族に遺言をしている。
身近な誰かがいつでも興味を持ったら見られるように、
家の何処かに保管しておいて欲しいそうだ。
私はといえば、
姉のレポートにある古代の超大陸の名前に、
昔遊んだRPGの地名を見つけ、
姉が描いた資料の地図と同じようなマップを
ゲーム攻略のために描いたことを思い出し、
同じDNAにしては、
ずいぶんと方向性が違ったなと、
おかしな感慨を持ってしまったのだった。
ふと姉が、
:何年か前に本で読んだ時には、
まだ北米プレートの境目は点線だったんだよね。
と話し始めた。
最近TVでたまに見かける日本周辺のプレートの配置図が、
はっきりと実線で描かれていたのを見て思い出したそうだ。
言われて思い返してみれば、
私が初めて目にした大陸移動説は、
まだ移動の理由を説明しきれていなかったし、
学生時代に読んだプレート理論も、
あくまでも仮説と前置きされていて、
プレートの数も今よりもっと少なかった。
そんな話をしていると、姉が、
:興味があるなら。
と言って、家から、
当時纏めたレポートの束を抱えて来た。
:家には、もっとあるんだけれどね。
と言いながら厚さ5センチぐらいのレポートをめくりながら、
地球の46億年前から現在に至る変遷を説明してくれた。
年表形式に纏められたレポートは、
縦軸に時間、横軸に地球上の各地域を配置し、
同じ時間軸の中で
世界中の歴史がどう関わり、
動いたのかがわかるように
縦横にテープで貼り合わせられていた。
:元々興味があった西洋美術史を理解するために、
必要な作業だったから。
と、語る姉の興味は、
すでに西洋美術史年表の制作に移っているようだ。
姉は、
:私が死んでも、棺桶にこのレポートを入れて
一緒に燃やすようなまねだけはしないで。
と、家族に遺言をしている。
身近な誰かがいつでも興味を持ったら見られるように、
家の何処かに保管しておいて欲しいそうだ。
私はといえば、
姉のレポートにある古代の超大陸の名前に、
昔遊んだRPGの地名を見つけ、
姉が描いた資料の地図と同じようなマップを
ゲーム攻略のために描いたことを思い出し、
同じDNAにしては、
ずいぶんと方向性が違ったなと、
おかしな感慨を持ってしまったのだった。