母と地デジ

かなり以前に

　：早くやらないと見られなくなりますよ。

と、騙されて地デジ化した母の家だが、
寝室のテレビは、ずっとアナログ用のままだった。

近所の電気屋で、

　：今ならエコポイントがつくよ。

といわれて、
デジタル対応の薄型テレビを買った母である。

すでに茶の間には、数年前から大型のがあるのだが、
テレビの録画は、ずっと寝室のアナログの方で、
ＶＨＳのビデオテープにやってきた母は、
新しいテレビと一緒にやってきたＤＶＤレコーダーに、
少々パニック気味である。

未だに母は、ＶＨＳを「四角いの」
ＤＶＤを「丸いの」と呼んでいるので、
設置に来た電気屋も、立ち会った私も、
最初は、いちいち言い換えていたが、
最後には、「丸いの」と「四角いの」という言い方が、
すっかり定着してしまった。

早く操作を覚えるようにとの親心か、
電気屋が、ＤＶＤレコーダーを操作しないと、
古いＶＨＳのテープが見られないように配線していったので、
母は、初日から悪戦苦闘していた。

しかし、荒療治が功を奏したようで、
私が帰る時には、

　：今度来る時、丸いの買って来てね。

と、言っていた。
今までは孫に頼んでいた、
撮りだめたＶＨＳのデータをＤＶＤに移す作業を
どうやら自分でやってみる気になったようである。