鉢植えの行方
母の家の玄関先には、
姉が作った寄せ植えの鉢が並んでいる。
姉が家で栽培しているものの中から、
見ごろの花をつけたものを選んで並べたり、
苗木を買って来て植えたり、
季節ごとに目を楽しませてくれる。
先日、母が玄関先に出た時に、
その中の鉢のひとつを
抱えて持ち去ろうとしている女性と
ばったり出くわした。
女性は、鉢をその場に下ろして、
脱兎のごとく走り去ったそうだが、
数日後の朝、その鉢が無くなっていた。
:あんな所に出しておいたら持っていかれると思っていたわよ。
という母に、姉は、
:だって、家の前には綺麗なのを置きたいじゃない。
気に入って持って行ったなら仕方ないよ。
と、諦めたように言う。
以前、植えた花を抜かれ、家の脇の路地に捨てられた時は、
亡き父と共に憤慨した姉だったが、
今回は、残念がる母を尻目に、
:あの鉢が無くなると、全体のバランスが悪くなるのよね。
と、次に置く鉢のことに、既に興味が移っているようだ。
鉢植えが持ち去られたのは、
今回で4度目だそうだ。
持ち去られないようにと
ものすごく重い鉢にしてみたこともあったが、
夜中に車で持ち去っていくのか、
効果は無かった。
:持って行った人は、そんな鉢を飾って、
平気で眺めていられるものかしら。
と、しきりに首を傾げる母であった。
姉が作った寄せ植えの鉢が並んでいる。
姉が家で栽培しているものの中から、
見ごろの花をつけたものを選んで並べたり、
苗木を買って来て植えたり、
季節ごとに目を楽しませてくれる。
先日、母が玄関先に出た時に、
その中の鉢のひとつを
抱えて持ち去ろうとしている女性と
ばったり出くわした。
女性は、鉢をその場に下ろして、
脱兎のごとく走り去ったそうだが、
数日後の朝、その鉢が無くなっていた。
:あんな所に出しておいたら持っていかれると思っていたわよ。
という母に、姉は、
:だって、家の前には綺麗なのを置きたいじゃない。
気に入って持って行ったなら仕方ないよ。
と、諦めたように言う。
以前、植えた花を抜かれ、家の脇の路地に捨てられた時は、
亡き父と共に憤慨した姉だったが、
今回は、残念がる母を尻目に、
:あの鉢が無くなると、全体のバランスが悪くなるのよね。
と、次に置く鉢のことに、既に興味が移っているようだ。
鉢植えが持ち去られたのは、
今回で4度目だそうだ。
持ち去られないようにと
ものすごく重い鉢にしてみたこともあったが、
夜中に車で持ち去っていくのか、
効果は無かった。
:持って行った人は、そんな鉢を飾って、
平気で眺めていられるものかしら。
と、しきりに首を傾げる母であった。