母の深層心理

最近の母は、
孫に教わった深層心理テストにはまっている。
家を訪ねてきた人にやらせて楽しんでいる。

まず、紙と鉛筆を用意して、
そこに横書きで、形容詞を１６個、
思いつくままに書いていく。

次に、１６個の形容詞を
１番目と９番目、
２番目と１０番目、
というように、２語ずつペアにして、
２つの形容詞から連想できる名詞や固有名詞を１つ考えて書く。

更に、その名詞を今度は順番にペアにしていき、
その２語から連想される名詞や固有名詞を１つ書く。

その作業を繰り返し、
最後に残った２つの名詞（もしくは固有名詞）から
連想される「文章」を考えて書く。

母の話では、その文章が深層心理を表すというのだが、
母に言われたとおりにやった私の最後の文章は、

　ヨドバシでパソコンを買ってポイントを貯めた

という、実に世俗的な結果となった。

母が、自身でこのテストをやってみて作った文は、

　亡くなった夫が生き返って欲しいと願っても叶わない

という、しんみりした文章だったが、
導き出される過程の最初に、
「やさしい」「太い」という２語から連想した言葉が、
私の名前だったことが、ちょっとショックだった。
母は、そんな私を見て、

　：確かに最近はちょっと痩せたけどさ。

と、とってつけたように言ったのだった。