母と熱帯魚

最近、私は「こころがうるおう美麗アクアリウムＤＳ」というゲームで遊んでいる。
ＤＳの小さな画面の中で
巨大なクジラやシャチ、イルカなどを飼うゲームだ。

先日、母の家に遊びに行った時、
母にその画面を見せてみた。
母は、

　：水を換えたりしなくていいから楽ねえ。

と、しみじみと語った。

私が、まだ小学生のころ、
父が熱帯魚に凝ったことがあった。
一番大きい水槽は１メートル近くもあったろうか。
金魚やメダカの水槽も合わせると、
大小７個の水槽が、
居間や廊下に並べられていた。
几帳面な父は、その水槽の管理にも気を配り、
ほとんどの休日は、水槽の水換えに費やした。
が、１メートル近くもある水槽の水換えは、
とても１人では出来なかったので、
いつも母が手伝わされていた。

　：ひとりで出来る趣味にして欲しいわ。

母は、陰でよく言っていた。

アクアリウムＤＳの画面は、
母にそんな記憶を思い起こさせたようであった。