母の日記・遺伝

連休中、夫と二人で母の家に行った。
夫にとっては、約半年ぶりの訪問だった。

約束した時間より１５分早く到着したせいで、
母は家にいなかった。
姉に頼んで鍵を開けてもらって、
家の中で母の帰りを待っていた。
夫は、

　：メールしてみたら？

と言ったが、
母の携帯は、居間のテーブルの上に
ちょこんと乗っかっていた。

しばらくして帰って来た母は、

　：時間を３０分間違えていたわ！

と言っていた。
お茶を飲みながら、
母は、いつも来客にするように、
ゲームの話ばかりしていた。
話を聞いていた夫が、

　：やっぱり親子ですねえ。

と言うと、母は、

　：ごめんねえ。

と、夫の顔を覗き込むようにして笑った。