母の日記・脱衣場

母の携帯を借りて、まず撮ることにしたのは
現在私が遊んでいるニンテンドーＤＳの
「おいでよ　どうぶつの森」と言うゲームの画面。
「Nintendogs」と違って、画面の動きが少ないので、
はじめての撮影には向いていると思ったのと、
あわよくば、ほぼ日刊イトイ新聞の「村自慢」のコーナーに
応募できるのではという、虫のいい考えからだった。

ＤＳと母の携帯を持っていざ写そうとするが、
画面全体が白っぽくなってしまって、
なかなかちゃんとした写真が撮れない。
母は、

　：この間撮ったお寿司の写真はうまく撮れたのに変ねえ。

と、首を傾げている。
私は、ゲーム画面を写すときは暗いところで撮るといいと、
どこかで読んだことを思い出し、
うろうろと家の中を探した。
母は、

　：なになに？

と、後ろから付いてきて、
私が、丁度いい暗室代わりになりそうだと、
母の家の風呂場の脱衣場に入ると、

　：私が支えててあげる！

と母も、一緒に入ってきた。
畳半畳分もないような狭い空間で、
扉を閉め切って真っ暗な中で、
携帯とＤＳを持って、ああだこうだと言い合う
いい年をした母子の姿は滑稽に映ったらしく、
偶然訪れた姉に、

　：二人して何をやってるのよ。

と、笑われた。