母の日記・ガスコンロ

母の脳年齢は、ここのところ三十代で安定している。
ボケなどとは無縁だと思っていたのだが。

先日、母の家に伯母が遊びに来ていた時のことだ。
ちょうど夕方で「笑点」が始まった。
母と伯母は、二人でテレビの前に座って見ていた。
大笑いしながら見ていると、
なんだか家の中が煙っている。
何か焦げているのかといぶかる伯母に、
母は、

　：何も煮ていないから気のせいよ。

と、とりあわなかった。
「笑点」が終わって台所に行くと、
ガスコンロの上でこんにゃくの煮物が
ちりちりと音を立てていて、
母は、あわてて火を止めたのだった。

母は、翌日早速、台所のガスコンロを
安全装置つきのものに買い換え、
大丈夫かという周りの心配をよそに、

　：こんにゃくってすごいのよ。
　　あんなに焦がしたのに鍋は無事だったんだから。

と言っている。