母の日記・おじいちゃん

毎日「nintendogs」や「脳を鍛える大人のDSトレーニング」を
楽しんでいる母は、

　：これ、あんたの家のおじいちゃんにも勧めたら？

と、よく言っている。
おじいちゃんというのは、私の夫の父親であるが、
母は、亡くなった父と区別するために、こう呼んでいる。
母よりもずっと年上であるが、
数年前までは、一人暮らしをしていた。
今のおじいちゃんにその頃の事を聞いても
何も覚えていないという。
おじいちゃんは、おなかの中に大きな癌を抱えているのだが、
今は、とても元気で、体調もすこぶる良い。
この前受けた検査の結果も良好だった。
告知を受けた事も、本人は、もう覚えていない。
今は知らせる必要も無いだろうと、夫も黙っている。

実は、DSでnintendogsを遊び始めてすぐに
おじいちゃんにも見せたことがあった。
おじいちゃんは、画面の中の子犬よりも
DS本体の裏側のネジに興味があったらしく、
ずっと、本体の裏側をいじっていた。

DSで一緒に遊ぶことは出来ないが、

　：音読は脳にいいのですよ。

と言って、よく家族みんなの前で、
夕刊紙の見出しを音読する。
風俗に関するページにさしかかると、
時折、ギクッとするフレーズもあるが、
淡々と、読み上げている。
愛すべきおじいちゃんである。