母の日記・松茸ごはん
母は、父が亡くなったことを
ごく少数の親しい人にしか知らせなかった。
だから、近所の人でも、父が亡くなったことを
まだ知らない人がたくさんいる。
新盆の提灯も、本来なら表に出すべき所を、
:それじゃ、まるで死んじゃったみたいじゃない。
と言って、家の中に吊していた。
一人で住んでいるのがわかると、
色々と物騒な事もあるだろうというのだ。
こんな時、新之助では番犬の代わりにはならない。
先日も、八百屋で父の好物の松茸を勧められ、
:食べる人がいないもの。
と、言葉を濁した。
:旦那さん、何処かへ行ってるの?
と尋ねる八百屋のおじさんに、
:うん、遠いところへ行ったのよ。
と答える母。更に、
:いつ帰ってくるの?
と聞かれて、
:当分帰ってこないのよ。
と、笑って答える母。
母は、何度か断ったが、結局それを買ってきた。
帰宅してから、松茸ごはんを炊いて、
山ほど仏壇に供えたそうだ。
勿論、私もお裾分けにあずかった。
一万数千円の国産松茸は、流石に良い香りがした。
ごく少数の親しい人にしか知らせなかった。
だから、近所の人でも、父が亡くなったことを
まだ知らない人がたくさんいる。
新盆の提灯も、本来なら表に出すべき所を、
:それじゃ、まるで死んじゃったみたいじゃない。
と言って、家の中に吊していた。
一人で住んでいるのがわかると、
色々と物騒な事もあるだろうというのだ。
こんな時、新之助では番犬の代わりにはならない。
先日も、八百屋で父の好物の松茸を勧められ、
:食べる人がいないもの。
と、言葉を濁した。
:旦那さん、何処かへ行ってるの?
と尋ねる八百屋のおじさんに、
:うん、遠いところへ行ったのよ。
と答える母。更に、
:いつ帰ってくるの?
と聞かれて、
:当分帰ってこないのよ。
と、笑って答える母。
母は、何度か断ったが、結局それを買ってきた。
帰宅してから、松茸ごはんを炊いて、
山ほど仏壇に供えたそうだ。
勿論、私もお裾分けにあずかった。
一万数千円の国産松茸は、流石に良い香りがした。