新しい機械

母から携帯に電話があった。
最近の母は、

　：千円分は使わなくちゃ。

と、面倒な用件の時は、
メールよりも携帯電話を使う。
ボタンひとつで娘たちの携帯に繋がるように
孫に頼んで設定してもらったのである。

用件は、伯母用のＤＳ本体を
買って来て欲しいという事だった。
伯母がＤＳ本体を買うという話は、
これまでも何回も持ち上がっては
いつの間にか立ち消えになってきたのだが、
今回は、いよいよ本当にその気になったというので、
早速、ピンクのＤＳを買って、母の家に持って行った。

伯母は、まだ来ていなかったが、
気が短い伯母が、来たらすぐに使えるようにと、
先に充電しながら本体設定をした。
もう、何度もみているはずなのだが、
使用者の名前を入力したり、
日付や時計を合わせるのを
母は、もの珍しそうに眺めていた。

そこへ伯母がやってきて、
母が使っていた脳トレのソフトを
新品の本体にさして遊び始めたのだが、
横でみていた母は、

　：やっぱり新品の機械の方が、反応が早い気がする。

と、ちょっと羨ましそうにしていた。
そう漏らす母のＤＳライト本体は、
実は、まだ孫の所から帰って来ていない。