母の日記・ふつうであること

子犬を飼うゲームnintendogsでは、画面に表示された子犬の名前をタッチすることで
子犬の状態を知ることができる。お腹は空いていないか、喉は乾いていないか、
毛並みは汚れていないか。
私が街ですれ違うほかの子犬たちの毛並みは、

　　　とてもきれい　

もしくは

　　　きれい　

というのがほとんどであるが、母の飼っている新之助の毛並みは、いつみても、

　　　ふつう

である。母に訳を尋ねると、

　：ふつう　なんだからいいじゃない。

という答えが返ってくる。
言われてみれば、確かに世間一般では　ふつう　であることは、別にいけないことではない。
しかし、そんな母も、毛並みが　ふつう　より一つ下の

　　　よごれている

になってしまったときは、大慌てで新之助を風呂に入れる。
お世話をなまけていると、子犬が家出してしまうと聞かされたからだ。

　：汚れていると泡立ちも泡の色もいつもとちがうのよ。

母が自慢げに話す。確かに、きれい　より下になったことがない私には、
目にすることができない現象ではあるが・・・。


最近、母は、新之助を毎日お風呂にいれてあげるようになった。
よごれてしまうとお風呂にとても時間がかかるため、
きれいにしておいた方が、世話が楽だということに気付いたのだそうだ。

　：新之助も嬉しそうだしね。

母は、そう言って笑った。