母の日記・甘栗
風邪をひいた母に、柿のゼリーを届けたら、
:柿は、好きだけど、このゼリーは、まあまあね。
と、言っていた。
新之助は、餌の好き嫌いはしないが、
飼い主である母は、味にうるさい。
亡くなった父は、嫌いなたべものの無い人だったが、
なかでも甘栗は、好物だった。
今でも時々甘栗を買っては仏壇に供える。
好物ではあったが、
甘栗をむくスピードは、
父が家族で一番遅かった。
母が、テーブルの上に乗せた甘栗は
娘達がせっせとむいて
それぞれの口に運ぶ。
父が1個食べる間に
娘達は5個食べる。
ある時、たまりかねた父が、
テーブルの上の甘栗を袋に戻し、
袋の口をしっかりと閉じて
袋ごと抱え込んだ。
そして唖然とする家族に、
1人5個ずつ甘栗を配った。
そこまで好きだったとは知らなかったと、
誰も文句を言わなかった。
それ以来、父へのプレゼントには、
甘栗を一袋添えるのが習慣になった。
昨年、まだ元気だった父に、
皮をむいてある甘栗を贈った。
その時の父の嬉しそうな顔が忘れられない。
:柿は、好きだけど、このゼリーは、まあまあね。
と、言っていた。
新之助は、餌の好き嫌いはしないが、
飼い主である母は、味にうるさい。
亡くなった父は、嫌いなたべものの無い人だったが、
なかでも甘栗は、好物だった。
今でも時々甘栗を買っては仏壇に供える。
好物ではあったが、
甘栗をむくスピードは、
父が家族で一番遅かった。
母が、テーブルの上に乗せた甘栗は
娘達がせっせとむいて
それぞれの口に運ぶ。
父が1個食べる間に
娘達は5個食べる。
ある時、たまりかねた父が、
テーブルの上の甘栗を袋に戻し、
袋の口をしっかりと閉じて
袋ごと抱え込んだ。
そして唖然とする家族に、
1人5個ずつ甘栗を配った。
そこまで好きだったとは知らなかったと、
誰も文句を言わなかった。
それ以来、父へのプレゼントには、
甘栗を一袋添えるのが習慣になった。
昨年、まだ元気だった父に、
皮をむいてある甘栗を贈った。
その時の父の嬉しそうな顔が忘れられない。