大玉

「大玉」は、昨日発売になったゲームキューブ用ソフトである。
ほんの少し触っただけだが、
こんなピンボールは、初めてである。

ボールが転がるフィールドには、
敵と味方の兵隊がにらみ合っている。
それらを容赦なく私が打ち出した大玉が、
ぷちぷちと潰していく。
潰される兵たちの上には、様々な言葉が、
漫画のフキダシのように表示される。
敵兵ならともかく、
味方の兵が大玉の犠牲になって、
「どうして？」と言うのを見ながら、
大玉を打ち続けるのは、何とも申し訳ない気分だ。

少しコツを掴んで、
戦をしている兵たちの邪魔にならないように
大玉を撃つことを覚えた。
すると、今度は、敵の陣地をまさに突破しようとした兵たちが、
口々に、志気を鼓舞する言葉を求めてきた。
「大玉」には、マイクが同梱されていて、
それを使って声で兵たちに指示を出すことが出来るのだ。
どうやら、その言葉が無いと、勝利には至らないらしい。
しかし、家族が寝静まった夜、一人でマイクに向かって、
「押せ、押せ」と、叫ぶことは、どうしても出来なかった。
戸惑っているうちに手元が狂って、
大玉は、振り場（フリッパー）をすり抜けて
味方本陣を破壊してしまった。
圧倒的に有利な戦況から、一気にゲームオーバーになった。

家族の留守に、再挑戦することを誓った。